新卒の就職問題を考える
近頃メディアで問題視されている大学新卒生の就職問題。
リーマンショック以降の世界的な大不況のなか、日本の企業は新卒採用の数を抑え始めた。
そこで悪化した新卒内定取得率に危機感を覚えた政府や関係各団体は現在の採用慣行とは異なる採用方式を探り出した。
彼らはまず採用の時期を問題視した。いまのままでは大学生が就職活動を始めるのが早すぎで、それによって就職活動の期間が長期化してしまっている、という。
かつ就職活動の期間が長期化してしまっているがために学生は海外留学をする時期を逸してしまっている、という。
それはどうだろうか。
いまの日本の就職活動の問題は時期で論じるよりも期間で論じた方が今後の改善に繋がると思う。
現在行われている大学生の就職活動制度では大学三年の夏あたりからインターンシップを経験し、10月以降に説明会に参加し、12月以降にエントリーシートを提出したりテストを受けたりし、4月以降に面接に臨む。
学生は約半年間就職活動に縛り付けられることになる。期間にしてはさほど「長期化」されてしまったとは感じない。
問題はむしろたった半年間の間に上記の手順を踏みつつ企業の適性を見極め、自分の一生涯を決め、かつ学業も全うしないといけないということだ。
しかもこの半年間で結果を出せないと、新卒採用偏重が当たり前の日本だと採用口が今後見つからないという可能性が出てくる。
これでは優秀な人材が(正社員として)社会に出る機会を逸してしまう可能性がある。
労働力人口が下がり続けている日本では非常に残念なことだ。
では、新卒内定取得率を上げるにはどうすればいいか。
現在の就職活動制度を改め、大学一年の時期から大学生が就職活動をできるようにすればいいのだ。つまり就職活動の時期を短縮するのではなく、むしろ極端に長期化するのだ。
学生が200%(勉学、自身の一生涯の決定、企業分析、自己分析、アルバイト、エントリーシートの作成、面接等)を半年間の間に求められていることが問題視され、ならば期間を短縮してあげれば学生に対する負荷が減るという理論は難しい。むしろ、200%をより短期間に求めれば学生はさらに就職活動をストレスと感じ、社会に出る意欲が萎縮してしまうだろう。
大学一年の時期から就職活動を解禁すれば、学生は目的意識を持って学業に取り組むことになる。まず、入学早々自身がどのような職業に向いているのか考え始めるであろう。そして試しに自身が最適と感じる企業に応募してみるかもしれない。応募した会社の人事には不適格と通知されるかもしれないが、「なぜ」不適格とみなされたかも本人に教えてあげれば、その学生はその後意識的に適格人材になるよう日常を送るようになるだろう。
さらに、大学一年生のときに企業から内定を取得した者は、大学卒業までまとまった時間が与えられることになる。これを有効活用して海外の大学へ留学する学生が増えるだろう。そうすれば日本の企業が求めている多様な人材も増え、まさにウィンウィンシチュエーションとなる。
もちろん全ての大学生に就職の門戸を開いておかなければいけない企業の苦労も計り知れないだろう。しかし、現在行われている「説明会出席は早い者勝ち」のような期間が定まっており、あまりにも濃密な「就職活動」は、学生にも企業にも拙速な判断を促してしまっている。
せっかくインターネットがここまで普及している時代なのだから、企業説明会はインターネット上などにして経費をなるべくカットし、各社自前の試験は設けず統一のテストセンターに揃えるなど、全ての大学生に門戸を開いておけるよう各社自発的な工夫が必要になるのは言うまでもない。
しかし、大学生にとっては人生に一度の大きな決断、双方にとって後悔するような結果を招かないよう最大限の改善を企業には求めたい。